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1998

November
November 7, 98 緊急、Jリーグの危機
クラブ経営の基本とは

    横浜フリューゲルスの横浜マリノスとの吸収合併問題が、日本のサッカー界を大きく揺さぶっている。Jリーグの理念の実体が、結局企業の論理に支配されていたことがこの不況によって、露呈してしまった形だ。サポーターの存続運動などが、インターネットでも盛んに行われ、ネットの掲示板でも様々な議論が繰り広げられている。また、マスコミでも"Jの理念の旗手"である、川淵チェアマンと"企業スポーツの盟主"なべつね氏の対決も興味本位で報道されている。

    しかし、私にはこの事態の本質は、もっと単純な問題に帰するように思えてならない。つまり、収入を越える支出で、事業を運営すれば、当然その事業は破綻する、ということに尽きるのではないだろうか。クラブの経営を、クラブの収入でまかなえば、経営危機などあり得ない訳である。たまたま、私が勤務する会社の会長が、ある会議の中で、経営の基本として守るべきルールを説明するのに、次の二つの例をあげた。

    A..支出は収入よりすくなくなければならない。
    B.収入は支出より多くなければならない。


    そして、この二つが似ているようで、実は大きく異なること、さらに自分が常にA.の方を基本理念として守ってきた、と語っていた。今のJリーグのチームの運営は、A.ではなく、B.の考え方で運営されているのではないだろうか。選手の年俸などをどんどん積み上げていって、その支出に見合う収入を得ようとする。当然、試合の入場料では、その支出に見合う収入は現状では得られない。したがって、それを補うために、広告料などの名目で親会社から補填を当たり前のようにのその収入に組み込んでしまう。当然、その補填がなくなれば、クラブの経営は行き詰まって、今回のフリューゲルスのような事態を招いてしまう。かのなべつね氏は、川淵氏の理念先行のJリーグ運営が、こうした危機を招いたと主張しているが、そもそもJバブルの頃、実力に見合わないほどに、選手の年俸をつり上げてしまったヴェルディー川崎の経費積み上げ方式の経営もこうしたJ全体の放漫経営を招いた大きな原因であることも忘れてはならない。

素人経営ではダメ

    Jリーグのクラブ経営を健全化するには、まず速やかに親会社の補填なしに、クラブ経営できるよう体質改善することである。入場料収入と本当のスポンサー料以外の収益はあてにしないことが基本だ。その収益を元に、選手の人件費、その他経費に予算が回せるかを算出するのである。当然、選手の総年俸もそうした総収入から算出されることになる。したがって、多くのクラブは高額年俸の選手は、放出しなければならないかもしれない。

    来年J2に参加する山形、甲府、鳥栖などのチームは、本当に限られた予算でクラブ運営をやりくりしている。このあたりのチームは、だいたい年間4億円程度でチーム運営している。1億円以下で運営している水戸ホーリーホックのようなチームすらある。今季のJFLで一時は川崎フロンターレや東京ガスを押さえて首位を独走していた山形などには、年俸1,000万以上の選手はいない。少ない予算で、立派に戦えるチーム作りをしている。

    それに比べて、Jリーグは怠慢経営としか言いようがない。ホームのゲームがいつも満員なのに、赤字というチームもあるようだが、そんな状態こそ、そもそもおかしいのである。シビアな経営をするためには、親会社からの出向社員で固めているフロントでは絶対だめだ。経営のプロフェッショナルを外部からいれなければならない。いつでも親会社に戻れる出向社員では、本気で自立した経営は難しい。健全なクラブ経営は、まずフロントの刷新からである。選手もプロならば、経営陣もプロでなくてはならない。

横浜フリューゲルス存続の道

    横浜フリューゲルスの存続運動が盛んに行われている。簡単に経営を放棄する親会社にも問題があるが、親会社の補填に頼り切った経営をしてきた運営会社の罪は大きい。存続させる一つの方法として、全日空が出資出来る金額プラス入場料収入でチームを運営することがあげられる。

    ここでサポーターが認識しなければならないのは、こうした形でチーム運営する場合、当然運営費は半分以下になるであろうから、高額な選手は放出しなければならないということである。おそらく、現在の顔ぶれの中で、年俸が1,000万以上の選手は全部放出ということになるだろう。そうなれば、チーム自体は現在のメンバーとはまったく別モノになるということである。また、メンバーが落ちれば当然、成績にも響く。J2に降格する可能性も高い。そうなれば、観客動員にも影響するだろうから、ますます経営は厳しくなる。そんな中で、同時にチームの強化も図らなければならない。

    存続させるためには、それだけの痛みが伴うわけである。それでも、チームをサポートしていく覚悟が、サポーターにも要求されるのを忘れてはならない。山口もサンパイオも三浦もいない無名の選手で構成されるチーム。横浜フリューゲルスのサポーターの皆さん、それでもあなたはそんなチームを支援出来ますか?

    しかし、一度そういう危機を乗り越えたクラブは本当に強いクラブに変身することだろう。来年、J2に参加するサガン鳥栖も、鳥栖フューチャーズが存続の危機に瀕したときに、そうした痛みを経験しているのである。

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