football
diary masato.net index

1999

January
January 27, 99 ヴェルディ転落の構図(最終回)
戸塚、都並で、絶えたユース上がりの選手の系譜

    過去2回にわたり、「ヴェルディ転落の構図」とタイトルを付けながら、すっかり昔話に花が咲いてしまった。最終回の今回はようやく本題に入ってみたい。人気、実力とも日本のトップチームとしてJリーグを迎えたヴェルディが、何故、その王座から滑り落ちてしまったのだろうか。前回コメントしたように、JSLの後期にブラジルスタイルのサッカーをベースに、助っ人ブラジル人だけでなく、日本人選手までが高い個人技に支えられたサッカースタイルを確立したヴェルディは、Jリーグがはじまって数年はトップチームとして君臨することが出来た。しかし、皮肉なことに将来有望だと思われた若手は、Jリーグ時代になってぴたっと、伸びなくなってしまった。ちょっと、考えるだけで、菊原志郎、中村忠斉藤浩史、藤吉信次、阿部良則といった読売ユース出身の期待の若手と言われた名前が浮かぶ。しかし、現在この中で現役でプレーしているのは、中村忠と阿部良則(ベガルタ仙台)くらいだ。年齢的には、十分トッププレーヤーとして活躍出来る年齢のはずである。しかし、すでに現役プレーヤーはいない。戸塚、都並に続くプレーヤーが育たなかったのである。

過去の遺産でJを戦ったつけが、凋落を招いた

    では、何故若手が育たなくなってしまったのだろうか。これには、いくつかの理由が考えられる。一つは、よく言われているように、ラモス、カズ、北澤、柱谷といったプレーヤーを追い越す若手が出てこなかった。逆に言えば、スター・プレーヤーが揃っていただけに、若手を使うチャンスが少なかった。さらに、そうしたスタープレーヤーが、目の前にいたために、若手も自分の実力もないのに、自分もスタープレーヤーと同じような錯覚に陥り、スター選手の派手な一面ばかりに、目が言ってしまったのではないだろうか。いくら才能があっても、努力を怠れば、たちまち才能は錆び付いてしまうことは、前園の例などを見ればよくわかる。常勝軍団を宿命付けられた歴代監督が、将来へ向けての選手起用より目先の勝利を優先した選手起用に走り、どうしても実績のない若手よりベテランを使ってしまったことも原因の一つだろう。そうしている内に、若手が育つ土壌が次第になくなり、試合に出場している主力選手もピークを過ぎると、チーム全体が下降線を辿ってしまったのである。それに伴い、必然的に試合内容も面白くなくなり、サポーターも競技場に足を運ばなくなるという悪循環に陥ってしまった。結局、ヴェルディはJリーグに入ってからは、JSL時代に培った遺産で戦っていたのである。その遺産を食いつぶしてしまったのが、現在の状況だ。

全国レベルの均一化も"ヴェルディブランド衰退"の原因

    若手が育たなくなった理由は、他にもある。 JSL時代は、ヴェルディいや読売クラブのサッカーは個人技では他のチームを圧倒していた。しかし、もともと読売のユースに集まっていた選手は、学校サッカーになじまない東京都下の少年たちだった。特に、肉体的、素質的に優れた選手を全国から集めていた訳ではない。読売クラブの優れた環境が、選手を育てていたのであろる。しかし、高校サッカーの実力地図を見てもわかるように、次第にJリーグの開始に伴い、全国の地域差がなくなってきた。過去、サッカーの御三家といわれた、静岡、埼玉、広島の高校が全国で勝てなくなってきたのが良い例だ。埼玉、広島に至っては、まったく過去の名声になってしまった。それと同じで、全国的なレベルが上がってくると、読売クラブの若手の技術のアドバンテージも必然となくなった。クラブユース選手権で常勝を誇ってきたヴェルディのユースがすっかり勝てなくなってしまったのがそれを物語っている。

すべてを断ち切った今シーズン、李総監督に期待

    サッカー界の盟主を目指していたヴェルディが、その道を断念し、過去のしがらみを一切捨て去ってしまった。もはや、ヴェルディのブランド力は、全くなくなったと言って良いだろう。とても、トップを目指せるチームではなくなってしまった。しかし、一つ期待出来るとすれば、総監督に李国秀氏が就任したことである。徹底的に、理詰めで見て楽しいサッカーを追求する李氏の手腕は、無名の桐蔭学園を全国レベルに引き上げたことでも証明されている。まさに、できあがったスターではなく、若手を育ててチームを作るには打ってつけの人材だ。すっかり、過去の輝きをなくしたヴェルディのサッカーを再び魅力あるものにしてくれる可能性は十分ある。ぜひ、目先の勝利ではなく、昔の読売クラブのように型にはまらない見て楽しいサッカーを復活させて欲しいものだ。

bbsback_numberfootball_link

football